不同意性交罪の慰謝料・示談金の相場はどのくらい?セックスを無理やりしたとして訴えられた場合のポイントを弁護士が解説!

男女問題

令和5年の刑法改正により不同意性交罪等が新設されました。性加害に対する厳罰化の動きが進み、当事務所でも性加害にまつわるトラブルの相談が増えています。最近では、お笑い芸人の松本人志さんやサッカー日本代表の伊東純也さんなど、有名人が性加害疑惑で活動自粛をせざるを得なくなってしまうケースもあり、報道等で耳にした方も多いかと思います。本記事では、同意なく、セックスを無理やりしたとする性加害で慰謝料を請求されてしまった男性やそのご家族・ご友人に向けて、慰謝料の相場や対応のポイントを解説いたします。

性犯罪・性加害になる3つのパターン

そもそも、同意なくセックスを無理やりしたといっても、どのような行為において、不同意性交罪が成立するのでしょうか。問題の行為を説明します。

①相手が拒否できない状況で性的な行為を行った

相手が拒否できない状況を利用したり、相手が拒絶しているのを無視して性的な行為を行うような場合です。相手が拒否できない状況であったかや相手が拒絶していたかどうかは客観的にみて曖昧な部分も多いため、思わぬ形でこのパターンに該当していると扱われてしまう可能性があります。条文には相手が拒否することが困難になる状況について、以下の8類型があげられています。

  1. 暴行・脅迫
  2. 心身の障害
  3. アルコール・薬物の影響
  4. 睡眠その他の意識不明瞭
  5. 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまの不存在
  6. 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕
  7. 虐待に起因する心理的反応
  8. 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
②誤解させて性的な行為を行った

性的な行為ではないと勘違いをさせて、性的な行為を行うような場合です。マッサージ店で施術を装ったり、病院で医療行為を装うなどして性的な行為を行うといった場合は、こちらに該当します。他にも、別人であると誤認させて性行為を行うといった場合も該当します。

③16歳未満の者へ性的な行為を行った

13歳未満の者への性的な行為については、同意があったとしても、不同意性交等罪が成立します。また、13歳以上16歳未満の者へ、5歳以上年長の者が性的な行為を行った場合についても、同様に不同意性交罪が成立します。たとえば、20歳の大学生が15歳の高校生と性的行為をすることは、同意があってもダメなのです。

もし、相手の年齢を知らなかったとしても、相手が制服を着ているとか、LINEの会話内容から年齢を認識できたような場合には、「知らなかった」という主張が認めてもらえない可能性もあります。

不同意性交罪は逮捕される?

不同意性交等罪の罰則は5年以上の有期拘禁刑(懲役刑)・不同意わいせつ等罪の罰則は6か月以上10年以下の拘禁刑(懲役刑)と大変重いです。

逮捕された場合、起訴・不起訴の判断が下されるまで最大で23日にもわたり身体拘束される可能性があります。起訴された場合は保釈されるまで更なる身体拘束が続く可能性があります。

同意なく、セックスを無理やりしたとして警察から捜査をされた場合でも、「逃亡のおそれがない」「証拠隠滅のおそれがない」と評価されれば逮捕されずに、在宅事件としてその後の手続きが進みます。在宅事件では普段通りの生活を送りながら、必要に応じて警察署に呼び出されて取調べを受けることになります。身体拘束されないため、日常生活への影響を最小限に留めることができます。

不同意性交罪の慰謝料・示談金の相場は?

性行為を行った相手から慰謝料を請求されたり、示談を成立させたい場合、その相場はいくらになるのでしょうか。慰謝料や示談金の額については、特定の決まりはありません。金額については、当事者間の合意によって決まります。

これまで、法律事務所Zで扱った事件から算出するとおおよその相場は100万円~500万円となります。もっとも、被害者の処罰感情や、加害者とされている方の資力や社会的立場から示談金額が跳ね上がるケースも多々あります。

傾向として、行為が悪質だったり被害者が未成年などの場合、被害の程度や精神的苦痛が大きいと判断されるような状況では、慰謝料や示談金も高くなる傾向があります。また、セックスを無理やりしたとされる加害者の収入や社会的地位が高い場合も、同様に慰謝料が高くなる傾向があります。

法律事務所Zでは、不同意性交の慰謝料として数百万円を請求された事案で、相手方との交渉を行い示談を獲得して50万円に減額した実績がございます。

慰謝料を請求されたら?まず弁護士に相談を!

同意なく、セックスを無理やりしたとして実際に慰謝料を請求されたり、不同意性交を主張されてしまった場合は、まず弁護士に相談しましょう。慰謝料や示談金については、性行為が行われた状況や各種条件や環境によって金額の考え方が変わります。ご自身で判断するのは難しいため、まずは弁護士に相談することをお勧めします。特に、過去の裁判例と比較して相場よりも高い慰謝料を請求されているかを判断するためには、弁護士のアドバイスは必要不可欠です。

また、弁護士を通じて被害者や関係者と連絡をとることで、その後の交渉を有利に進めることができます。性犯罪をしたことを疑われると、不安や恐怖から逃れるため、本当は事実と異なるのに相手の主張の一部を認めてしまったり、罪を認める自白をしてしまったりしてしまう場合があります。ご自身では、警察官や検察官にわかってもらおうと事実のとおりに話しているつもりでも、気づかないうちに不利な供述をとられてしまうリスクがあります。

警察官や検察官は取り調べのプロです。弁護士と相談し、精神的なサポートを受けるとともに、取調べの準備を行うことで、適切な防御をすることができます。結果的に、慰謝料や示談金の減額だけでなく、被害届の取り下げや減刑の獲得に繋がる場合もあります。

交渉を有利に進め、減額を獲得するためにすべきこと

セックスを無理やりしたとして実際に加害が成立するかどうかの判断にあたっては、SNSやメールでの連絡状況や防犯カメラで撮影された行動状況等が重要な事実となります。相手方とのやり取りや、支払い明細など証拠となる要素を確保しましょう。

交際相手や配偶者がいる場合、バレたくないという心理が働き、性行為の相手とのメッセージの履歴を削除したり、ホテルの支払い明細を処分してしまうことがあります。しかし、関係するデータや書類は全て残しておくのが安全です。

メッセージの履歴やから相手方が同意していた証拠が出てきたり、性行為の場所が争点になっているようなケースでは、支払い明細や決済時間等から相手が性行為に同意していたことが裏付けられる証拠として有効になる場合があります。もちろん「昨日はありがとうございました。楽しかったです。」というお礼のメッセージがあるだけでは足りませんが、「好きになっちゃった」「次は2人で旅行もしたいね」「彼氏と別れようかな」といったメッセージがあれば、有力な証拠になります。

これらの証拠から私たち弁護士は、客観的に状況を判断しながら相手や相手方の弁護士、警察に対して連絡をとって行きます。

弁護士が連絡することで、交渉を有利に進めつつ請求自体を否定したり、慰謝料を減額したり、和解や不起訴を獲得していきます。起訴がされなければ、裁判によって有罪とされることはありません。万が一、起訴されてしまった場合でも、依頼を受けた弁護士は、あなたの言い分を踏まえて、無罪の獲得を目指して全力を尽くします。また、仮に罪を認めている場合であっても、一発で実刑にならないよう執行猶予を獲得するためにも全力を尽くします。

職場・身内バレは防ぐことができる?

弁護士に相談した場合、相手方や相手方の弁護士からの連絡の窓口についても、弁護士が代行します。直接あなたや自宅に連絡が来ることはなくなるので、家族や身内にバレるリスクは軽減することができます。

刑事事件として捜査が行われると、被疑者として逮捕・勾留され、前述の通り最大で23日間の身体拘束を受けることになる場合があります。何日も身体を拘束されれば、その間、学校や仕事を休まざるを得なくなり、日常生活に及ぼす影響も計り知れません。特に出席日数が重要な方や試験を控えている方、経営者や重要なポストに就いている方にとっては、大きな問題といえます。

依頼を受けた弁護士は、逮捕・勾留の身体拘束からの早期解放に向けて働きかけることはもちろん、報道を回避してダメージが最小限のものとなるよう尽力します。

ご相談は解決実績が豊富な法律事務所Zまで!

法律事務所Zでは、刑事事件や男女問題についての様々な対応経験のある弁護士が多数所属しております。不同意性交に関する慰謝料の減額実績はもちろん、刑事事件に発展した事案において、示談を獲得した実績もございます。お困りの際は、お気軽にご相談ください。


依田俊一

2011年慶應義塾大学経済学部卒業、2014年東京大学法科大学院修了。法務博士(専門職)。経済産業省、中小企業庁を経て、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。野村證券株式会社に出向し、法律事務所Zを創立。現在は国内ファンドに所属。証券会社において、ファイナンシャルアドバイザーとして、多数のM&A、事業再編の支援を担当した経験から、M&A、事業承継、買収ローン案件に強みを持つ。

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