前回の記事にて、痴漢で逮捕されてしまった場合の仕事への影響について解説しました。今回は家族に隠したい場合にどうすべきかについて解説していきます。
家族に連絡はいく?
未成年もしくは成人でも学生が逮捕された場合、警察から保護者に対して必ず連絡がいきます。学生ではない成人の場合でも、捜査や勾留の過程で家族に連絡がいく可能性は高いです。
もし、痴漢で逮捕された事実を家族に知られたくないのであれば、少しでも早く弁護士に連絡をして、家族に連絡がいかないように依頼するとよいでしょう。
逮捕されてしまった場合、携帯電話やスマホは没収されて自由に外部と連絡を取ることはできません。警察署では最大48時間、検察庁に送致(送検)されると、勾留請求、裁判所の勾留決定などを経て、最大で20日間という長期間の身体拘束が続くことになります。その間、事情も分からないまま連絡がなければ、不安に思ったご家族が警察に連絡することも考えられます。
そのため、家族に知られないためには、弁護士の協力のもと被害者との示談を成立させるなど、一刻も早く身柄の解放に繋げることが重要です。
釈放には身元引受人が必要
一度逮捕されてから身元が解放される場合に必要となるのが、「身元引受人」です。身元引受人とは、間違った行動をしないように監督する役割の人のことで、逮捕後に必要となるタイミングは次の通りです。
①警察署から釈放される時
取り調べを受けた結果、釈放となった場合、身元引受人に連絡をして署まで迎えに来てもらいます。
②送検後に検察が勾留請求をしない時
送致を受けた検察官が逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断した場合、裁判官に勾留を請求しないことがあります。勾留を請求しない場合は、釈放されますが、その際に検察官の判断で身元引受人に迎えに来てもらいます。
③裁判官が勾留請求を棄却する時
裁判官が検察官の勾留請求を判断するにあたって、身元引受人の有無が判断材料のひとつとなります。適切な身元引受人がいれば、勾留請求が却下され釈放される可能性が高まります。
④保釈請求をする時
起訴となった場合、保釈請求をすることができます。その際、適切な身元引受人がいると許可されやすくなります。
逮捕後の流れについては、別の記事で解説していますので詳しくはこちらをお読みください。
身元引受人には誰がなれる?
身元引受人を家族にする場合、依頼する時点で痴漢で逮捕された事実が必然的に知られることになります。では、家族以外を身元引受人にすることはできるのでしょうか。身元引受人にすることができるのは、次の関係性の人たちです。
①同居している家族
最もよくある身元引受人です。本人と日常的にコミュニケーションがとれるので監督者として相応わしいと判断されやすいです。
②同居していない家族や親族
同居家族に知られたくない場合、兄弟などを身元引受人にすることもあります。同居家族の方が適任ではありますが、近しい関係性ではあるので、監督者として認められやすいです。
③職場の上司
同居家族と同様、日常的にコミュニケーションがとれ、上下関係もあるので指導・監督者としても適任であり、認められやすいです。
④婚約者や恋人
婚約者や恋人も同棲している場合は、認められやすいです。一方で交際期間が短かったり、元恋人という関係性の場合、認められないこともあります。
⑤友人
①〜④で適任者がいない場合、友人でも認められることがあります。日常的にコミュニケーションをとれることが前提なので、知り合い程度の関係性だと認められない可能性が高いです。
③〜⑤で身元引受人が認められれば、家族に知られることなく解放となります。
弁護士は身元引受人になれる?
すでに逮捕・勾留されているケースでは、弁護士を身元引受人にすることはできません。弁護士が同行して本人が自首する場合や、警察から任意の出頭要請があった場合については、弁護士を身元引受人にすることができます。これから出頭を考えている方は、事前に弁護士に相談するとよいでしょう。
報道で家族が知ってしまう
逮捕された事実が報道された場合、それを見た家族が知ってしまうということもあります。実名で報道するかどうかについては、法的なルールや規制はなく各報道機関の判断となります。一般的には、社会的な影響力の大きさを実名報道の判断基準とすることが多いです。
例えば、政治家や著名人、企業の経営者や役員など、すでに氏名が公になっている立場の人は実名報道されやすいです。また、公務員についても国民の信頼を得て業務を遂行すべき立場にあるため、一般人と比較すると実名報道されやすいといえます。また、一般人であっても悪質性が高かったり、何度も逮捕されていたりする場合、やはり社会的な影響という観点で実名報道されやすいです。
家族に知られたくないならまず弁護士に相談を
家族に知られるかどうかは、ご自身でコントロールすることが難しいです。家族への連絡を止めるには、弁護士の協力が不可欠ですので、早期に弁護士に相談しましょう。特にこれから出頭をする方であれば、事前に方針も決めることができます。
相談する弁護士を選ぶ際は、痴漢事件の経験がある事務所に相談するのが良いでしょう。法律事務所Zでは、痴漢で一度逮捕されてしまったケースで、示談に持っていき不起訴となった実績も多数ございますので、ご相談ください。