退職勧奨を受けてしまったら 会社との交渉のポイント

労働

労働問題に関する事案の中でも、自身の意に反して退職勧奨を受けたというご相談をしばしばいただきます。転職活動中で次の職場が決まっているタイミングでもない限り、突然の退職勧奨に戸惑う方は多いでしょう。今回は、訴訟をせずに解決金を受け取り、転職先が決まるまで在籍を保証してもらった事例について解説していきます。

休職から復帰したタイミングで…

管理職として働いていた40代男性のNさんは、精神疾患を患ってしまい休職しました。休職中の療養で回復し、職場復帰をしようとしたところ退職勧奨を受けてしまいました。ご本人は復職を希望していたタイミングだったので、転職の準備はしていません。このような場合、会社と何を交渉したら良いでしょうか。

解雇と退職勧奨

そもそも、日本の労働法では、会社が一方的に労働者を解雇することは認められておりません。労働契約法の第16条において、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合における解雇は、無効と定められています。

これに対し、退職勧奨は会社が従業員を説得し、従業員と合意のもとで雇用契約を終了することを目指す行為です。従業員を退職させるという意味で、会社側の目的は同じですが、一方的な解雇と主張されないように、会社側は適法な退職勧奨という形を取ります。今回のケースでは、精神疾患を患って休職したこと自体は、解雇する上で客観的に合理的で社会通念状相当であるとは言いにくく、解雇はではなく退職勧奨という方法を取ったのでしょう。

一方で、退職勧奨の全てが適法というわけではありません。労働者の退職に関する自己決定権を侵害したり、労働者の人格的利益を侵害するような退職勧奨は違法です。例えば、暴行や不当な心理的圧力、労働者が拒んだ後での執拗な退職勧奨の継続、長時間の退職勧奨等があった場合は、違法性を主張して会社側と争う余地があります。

会社の退職勧奨が適法かどうかの判断は従業員個人では難しく、法的知識や他の事例などを踏まえた判断が必要となります。弁護士に相談した上で、交渉戦略を立てていくのが良いでしょう。

会社との交渉における獲得目標

退職勧奨を受けた場合、退職に応じるのか応じないかによって、以下の獲得目標を設定して会社と交渉していきます。

Nさんの場合、私たち弁護士のアドバイスのもとで会社と交渉を進め、次の職場が決まるまでの在籍保証とその間の給与と解決金を受け取ることに成功しました。

弁護士に相談を

長年勤めた会社や馴染みの同僚と交渉を進める行為は、精神的な負担も大きくためらう方も多いでしょう。また、企業と交渉するためには感情論や法律の知識だけでなく、企業側の論理を理解する必要があります。法律事務所Zには、四大法律事務所出身の企業法務専門弁護士や企業内弁護士の経験者が多数在籍しております。まずは一度ご相談いただき、私たちと一緒に会社との交渉を進めていきましょう。

依田俊一

2011年慶應義塾大学経済学部卒業、2014年東京大学法科大学院修了。法務博士(専門職)。経済産業省、中小企業庁を経て、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。野村證券株式会社に出向し、法律事務所Zを創立。現在は国内ファンドに所属。証券会社において、ファイナンシャルアドバイザーとして、多数のM&A、事業再編の支援を担当した経験から、M&A、事業承継、買収ローン案件に強みを持つ。

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