パパ活トラブルを弁護士が解説 結婚詐欺を理由に損害賠償請求されたらどうすればいい?

男女問題

近年、マッチングアプリやSNSの普及もあって、パパ活(P活)が多く行われるようになってきました。これに伴い、パパ活をきっかけとしたトラブルも増加傾向にあります。本記事では、そのようなパパ活トラブルのひとつとして、男性(パパ・おじ)から女性に対して金銭的な請求があった場合の女性側の対応ポイントについて解説します。

パパ側の請求内容

パパ活をきっかけに生じる金銭トラブルの内容は様々ですが、よくあるケースのひとつは、男性が女性に対する期待を膨らませた結果、当初と異なる要求をし、これに女性が応じなかった場合にこれまでに支払ったお金の返還や慰謝料を請求してくるというものです。

パパ活は、時間を共にする対価として男性が女性に金銭の支払いをすることを双方が合意して行なわれるものです。しかし、男性が女性に対する恋愛感情を一方的に深め、当初合意した内容以上の見返り(交際や結婚等)を求めてしまうことがしばしばあります。

実際に主張される内容は

「結婚前提でお金を渡していたのに結婚するつもりがないとはけしからん!結婚詐欺だ!渡した100万円を返金しろ!慰謝料として300万円も支払え!」

「交際していると思っていたからプレゼントをしました。他の男性と会っているなら、交際はなかったことにしますのでプレゼント代に使った100万円を返してください。」

といったように様々です。

請求された場合の法的対応

相手方となる男性がどのような法的根拠で請求を行ってくるかによって取るべき対応は変わりますが、一般的に以下のような反論を行うことが想定されます。

いずれの反論を中心に交渉を進めていくかは個別の事案によるため、弁護士のアドバイスを受けて適切な見通しと交渉戦略を立てて対応することをおすすめいたします。

⑴ 請求自体を否定する

例えば、男性が結婚詐欺・恋愛詐欺であることを主張し、金銭の支払いを請求してくる場合があります。このような場合では、詐欺的な手法を用いていないことを明らかにすることができれば支払いに応じる必要はありません。

パパ活の条件を書面に残すことは通常ないと思われますが、LINEのトーク履歴やメールの記載等からでも、どのような約束のもとでパパ活を行っていたかが記されていたり、内容次第では、詐欺的な手法を用いていないことを明らかにすることができる場合もございます。

請求自体を否定することができるかどうかについては法的な知見に基づく検討が必要となります。弁護士にご相談し、見通しについて説明を受けることをおすすめいたします。

⑵ 金額を争う

例えば、30万円しか金銭授受がなかったのにもかかわらず、100万円の返金を求められてしまう場合がありますが、少なくとも70万円については返金する必要はありません。このように、男性が自身の感覚に基づいて請求をした結果、過大な請求がされてしまう場合もございます。

このような過大な請求がなされているかどうかは、証拠に基づき、事実関係を正確に整理したうえで判断する必要があります。この点についても、裁判においてどのような事実や証拠が重要となるかに詳しい弁護士にご相談されるとよろしいでしょう。

注意点

男性や代理人の弁護士から法的請求を受けると不安になり、連絡をブロックしてしまったり、LINEのトークやメールの履歴を消してしまう方も少なくありません。

しかし、これまでのトークやメールの内容が重要な証拠になる可能性があるため、きちんと残しておくことが望ましいです。ご自身では気づかなかったものの、相談を受けた弁護士が見れば、有利な記載がなされていると判断できる場合もございます。

例えば、やりとりの内容からどのような条件でパパ活を行う約束であったかが分かり、その結果、男性が過大な要求をしていることを明らかにすることができる場合があります。また、当初から結婚するつもりがないことをメッセージで伝えていた場合、結婚詐欺でないことを明らかにすることができる場合もあります。

さいごに

法律事務所Zでは、パパ活トラブルや男女問題についての対応経験がある弁護士が複数所属しております。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

※本記事はパパ活・P活を推奨するものではございません。

依田俊一 2011年慶應義塾大学経済学部卒業、2014年東京大学法科大学院修了。法務博士(専門職)。経済産業省、中小企業庁を経て、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。野村證券株式会社に出向し、法律事務所Zを創立。現在は国内ファンドに所属。証券会社において、ファイナンシャルアドバイザーとして、多数のM&A、事業再編の支援を担当した経験から、M&A、事業承継、買収ローン案件に強みを持つ。 

溝口矢

2016年慶應義塾大学法科大学院卒業後、ベンチャー企業でのマーケティング等に関与。 弁護士登録と同時に入所した弁護士法人Martial Artsでは、不動産分野、債権回収を中心に多数の一般民事事件や中小企業法務を取り扱った。不動産会社内で企業内法務にも携わる。 知的財産分野に関心があり、エンターテインメント関係の相談対応も手掛けている。

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