痴漢で逮捕された場合、実名報道される?リスクと対策を弁護士が解説

痴漢

これまで、痴漢で逮捕されてしまった場合の対応や、仕事や家族への影響について解説しました。今回は実名報道について解説していきます。

実名報道とは

実名報道とは、報道機関が事件や事故について報じる際に、被疑者の氏名を報道することを言います。

実名で報道されると、痴漢で逮捕された事実が新聞やテレビなどの各媒体を通じて、世間に知られることとなります。また、昨今では各報道機関がウェブやSNSアカウントなどを通じて、デジタル媒体やネット上にも記事を配信することが一般的です。一度ネット上に公開されてしまうと、拡散する可能性があることに加え、デジタルタトゥーとして残り続けるといったリスクも考えられます。

さまざまな不利益に繋がる可能性があるため、できることなら実名報道されないような対策を早期に取るとよいでしょう。

実名報道されやすい条件

実名で報道するかどうかについては、法的なルールや規制はなく各報道機関の判断となります。一般的には、社会的な影響力の大きさを実名報道の判断基準とすることが多いです。報道されるタイミングとしては逮捕された時、身柄送検時、起訴時、有罪判決が出た時などが考えられます。

社会的な影響力という観点で、実名報道されやすい条件は次の通りです。

①政治家や著名人

政治家や著名人、企業の経営者や役員など、すでに氏名が公になっている立場の人は実名報道されやすいです。

②公務員

公務員についても国民の信頼を得て業務を遂行すべき立場にあるため、一般人と比較すると実名報道されやすいといえます。

③悪質性が高い

一般人であっても悪質性が高かったり、何度も逮捕されていたりする場合、やはり社会的な影響という観点で実名報道されやすいです。

④社会的な注目が集まっている

一般人や初犯であっても、特定の場所での痴漢行為や手口が社会問題になっていて、連日関連の報道が続いている状況など、世間の注目が集まっている場合、実名報道されやすいです。

早期に身柄が解放されたり、示談が成立して不起訴となった場合においては、実名報道される可能性は低くなります。もちろん、著名人や政治家などは不起訴となった場合でも、実名報道されることもあり、可能性はゼロではないです。

実名報道の影響

実名報道されてしまった場合、どのような影響があるでしょうか。まず懸念されるのは仕事への影響です。職場に知られてしまった場合、懲戒処分や解雇になってしまうかもしれません。また、取引先等に知られてしまった場合、会社の評判を落としたり、取引を止められてしまうという可能性もあります。

また、ご近所で噂が拡がってしまい、ご本人だけでなくご家族が批判されるなどして、私生活にも影響が出てしまうことも考えられます。

加えて、昨今ではネット上で拡散されてしまうリスクについても無視できません。インターネットやSNSの普及により、誰でも情報発信できる時代となりました。これにより、報道機関が実名で配信した記事を、第三者がSNSやブログ等で転載したり、まとめサイトなどに掲載するなどして、報道をきっかけにデジタル上で拡散してしまう可能性があるのです。ひとたび拡散してしまうと、ご自身で止めるのは困難です。

弁護士に相談して対策を

実名報道を避けたい、あるいはすでに実名報道されてしまった場合、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が対応できることとしては次の通りです。

①捜査機関や報道機関に働きかけ

実名報道される前であれば、事前に捜査機関や報道機関に対して意見書を提出し、実名での発表や報道を控えるように働きかけを行います。意見書の作成にあたっては、法的根拠に基づいて作成します。

②報道機関に削除を要請

すでに実名報道されてしまっている場合では、該当の報道機関に対して削除要請を行います。新聞などの紙媒体で発行済みの場合は難しいですが、ネット記事については削除に応じてもらえる場合があります。早期に削除してもらうことで、拡散のリスクも抑えることができます。

③ブログやまとめサイトなどの対応

ブログやまとめサイトなどで拡散されてしまった場合、ブログやサイトの運営者に対して削除要請を行います。運営者が削除に応じてくれない場合、インターネットサービスプロバイダーに削除を依頼したり、裁判所に仮処分を申し立てるなどして、該当の情報が削除されるように働きかけます。

実名報道を防ぐなら弁護士に相談を

実名報道されるかどうかは、ご自身でコントロールすることが難しいです。交流や取り調べが続く中でご自身で対策を行うのは困難です。弁護士に相談した上で、適切に対処しましょう。

相談する弁護士を選ぶ際は、報道されるような刑事事件の取り扱い経験がある事務所に相談するのが良いでしょう。法律事務所Zでは、多数の実績とノウハウがございますので、ご相談ください。

依田俊一

2011年慶應義塾大学経済学部卒業、2014年東京大学法科大学院修了。法務博士(専門職)。経済産業省、中小企業庁を経て、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。野村證券株式会社に出向し、法律事務所Zを創立。現在は国内ファンドに所属。証券会社において、ファイナンシャルアドバイザーとして、多数のM&A、事業再編の支援を担当した経験から、M&A、事業承継、買収ローン案件に強みを持つ。

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