【消費者詐欺】二次被害に遭わないように!あやしい法律事務所の4つの特徴

消費者被害

情報商材や霊感商法、国際ロマンス詐欺など、消費者をターゲットとした詐欺行為は、時代に合わせて形を変え、さまざまな手法で消費者を狙っています。こうした詐欺行為が許されないことは言うまでもないですが、近年、こうした被害者に対して、解決の見込みがないにもかかわらず受任をして、着手金を請求する法律事務所があるようです。こうした事態を受け、東京弁護士会も注意喚起をしているところです。本来、被害者に寄り添い、解決に向けて尽力すべき法律事務所が、詐欺ビジネスの一端を担うような行為をはたらくなど、あってはならないことです。今回は、こうしたあやしい法律事務所の特徴について解説していきます。

消費者詐欺とあやしい法律事務所

消費者詐欺とは、その名の通り消費者をターゲットにしてお金を騙し取る行為です。情報商材や霊感商法、振り込め詐欺など昔から続いている手法もあれば、その時代の流行やトレンドに合わせて新たな手口が登場するのも特徴です。近年ではフリマアプリ詐欺や、国際ロマンス詐欺、副業詐欺なども被害が報告されています。

私たち弁護士は、消費者詐欺の被害者からご相談があった場合、被害の具体的な内容を伺った上で、法的な問題点を立証し詐欺行為を行っている個人や会社に対して、返金交渉を試みます。返金に成功すれば事案解決となります。一般的な法律事務所では、着手金に加え、返金額に応じて一定の報酬を支払うことになります。しかし、こうした着手金がかかることを利用して、解決できない事案を受任するといった詐欺まがいのスキームを行う法律事務所の存在が確認されています。

着手金を狙う手口

具体的な手法はとてもシンプルです。そもそも解決(返金)が困難な事案について、あたかも実績があって解決できるかのような誘い文句を謳って相談者を集め、着手金を支払わせるというものです。その後、返金交渉はするものの「返金できませんでした」といった形で案件を終えてしまいます。

もちろん、弁護士の業務は成功を保証するものではありませんし、保証してはいけません。依頼者から着手金を受け取り、被害調査と返金交渉を行った結果として、返金に至らないことも当然あります。しかし、まともな法律事務所であれば、事前に回収できないリスクがあることを充分に説明し、それでもよいならという条件で受任をします。

ところが、こうしたあやしい法律事務所は、そもそも回収が難しい案件であるにもかかわらず、依頼者に充分な説明をせず、着手金を支払わせるようです。これでは弁護士が詐欺の二次被害を引き起こしているのと何ら変わりはありません。受け取ることだけを目的とし、詐欺被害者からさらなる被害を生んでいるのです。

こうした行為の多くは、近年話題になっている国際ロマンス詐欺の事案において、横行していることが分かっていて、東京弁護士会も注意喚起をしています

あやしい法律事務所の特徴

そもそも、こうした法律事務所においては、弁護士が経営をしているのではなく、弁護士ではない担当者が広告を運用し、弁護士や事務員を雇っているという実態があるようです。
被害に遭わないために、あやしい法律事務所に多くみられる特徴を4つご紹介します。もちろん、これらに該当したとしても、健全な弁護士事務所も存在しますし、その逆も然りです。その点ご承知の上、弁護士事務所を選ぶ際の参考になれば幸いです。

特徴①弁護士が一人ないし少数

通常の法律事務所であれば、当然のことながら、受任の際には弁護士が必ず面談をします。また、業者に対する交渉も弁護士が行います。そのため、事務職員よりも弁護士が働く方が多いのです。ところが、あやしい法律事務所は、依頼者と弁護士との面談を実施せずに事務員などのスタッフとのやり取りのみで処理を進めます。

本来、詐欺行為の返金を求める際には、依頼者の話を聞きながら詐欺にあたる行為を検証し、証拠を精査して相手方との交渉を行います。交渉の際には、弁護士の法的な知識はもちろん、過去の実績に基づいた事件の見通しが重要になります。

これらの交渉を弁護士資格のない事務所スタッフのみで行うのは難しく、着手金の獲得のみを目的として案件を受任している可能性があります。こうした被害に遭った方の話を聞くと、弁護士が一人ないし少数であるという点が共通しています。

特徴②「〇〇詐欺“専門”」などの誇大広告にあたる可能性のある表現を多用

ホームページや広告などにおいて、「〇〇詐欺“専門”」などの表現を用いている場合、注意が必要です。「国際ロマンス詐欺などの比較的新しい消費者詐欺の分野において、「専門分野」、「専門弁護士」、「国際ロマンス詐欺特化」などの表現を用いている場合、日弁連が禁止している「誤導又は誤認のおそれのある広告」に該当する場合があります。

日弁連 弁護士の業務広告に関する規程
(禁止される広告)
第三条
弁護士等は、次に掲げる広告をすることができない。
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告

日弁連 弁護士の業務広告に関する規程

12専門分野と得意分野の表示(1)専門分野は、弁護士等の情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。一般に専門分野といえるためには、特定の分野を中心的に取り扱い、経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解されるが、現状では、何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。専門性判断の客観性が何ら担保されないまま、その判断を個々の弁護士等に委ねるとすれば、経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害も生じるおそれがある。客観性が担保されないまま専門家、専門分野等の表示を許すことは、誤導のおそれがあり、国民の利益を害し、ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあるものであり、表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト、プロ、エキスパート等といった用語の使用についても、同様とする。

「業務広告に関する指針」

特徴③消費者庁など公的機関のロゴを掲載

前述の誇大広告への該当が疑われる表現に加えて、ホームページ上に消費者庁や警視庁などのロゴを掲載している場合も注意が必要です。あやしい法律事務所は、そもそも弁護士としての信頼や実績がないため、信頼のおける事務所であることを演出する目的で、公的機関のロゴを掲載している場合があります。もちろん正しいプロセスを経て、利用許諾をもらっているのであれば問題ないですが、中には許諾を得ていない場合もあるようです。あくまで確率の話にはなりますが、真っ当で実績のある事務所であれば、わざわざ公的機関のロゴを利用する必要がなく、掲載している事務所があった場合、無断利用である可能性があるといえます。

特徴④所属弁護士会の表示がない

弁護士会とは、弁護士および弁護士法人を会員として構成される団体で、日本で弁護士活動を行う場合、日本弁護士連合会(日弁連)と全国52ある弁護士会のいずれかに所属しなければなりません。当事務所は第一東京弁護士会に所属しています。日弁連は「弁護士等の業務広告に関する規程」第9条において、ホームページ上に所属する弁護士会の記載を義務付けており、表記がない場合は違反広告となります。

もし、弁護士が法律事務所を経営しているのであれば、こうした規程の存在は当然知っています。規程すら知らないということは、弁護士ではない人が経営をしている可能性が高いといえます。これに関しても、東京弁護士会が注意喚起をしています

まとめ

いかがでしたでしょうか。これらに該当したからと言って、必ずしもあやしい弁護士事務所という訳ではありませんが、相談する前にご自身で確認するポイントとして押さえておくと良いでしょう。私たち法律事務所Zには、複数の弁護士が在籍しており、すべての依頼者様との面談を弁護士自らが行います。

法律事務所Zは、四大法律事務所という大手法律事務所での勤務経験がある弁護士、消費者庁での勤務経験がある弁護士が所属しているほか、通常の事件においても実績が豊富です。特に、占い詐欺分野においては、これまで500件弱(本記事の執筆時点)のご相談をいただいており、多くの返金実績もございます。占い詐欺サイトの運営者との返金交渉におけるノウハウも蓄積されておりますので、安心してご相談ください。

伊藤 建

弁護士、法務博士(専門職)、大阪大学大学院高等司法研究科非常勤講師、広島大学法科大学院客員准教授、関西大学法科大学院非常勤講師。内閣府、消費者庁を経て、琵琶湖大橋法律事務所開業後、資格試験プラットフォームを運営する株式会社BEXAを創業。日本海ガス株式会社入社を経て、法律事務所Zを創立。多数の一般民事事件に従事したほか、初の受任事件で無罪を獲得し、第14回季刊刑事弁護新人賞最優秀を受賞するなど、訴訟戦略に強みを持つ。中小企業・ベンチャー企業の一般企業法務のみならず、起業家弁護士として、DX改革や新規事業創出支援、ルールメイキングも得意とする。

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