占い詐欺被害者の方たちから多くのご相談をいただく中で、法律事務所に相談したものの対応に疑問を感じていたり、解決金に納得がいかなかったりして、第三者目線の意見を求めて当事務所にお問い合せをいただくというケースが増えております。詐欺の被害に遭ってしまったという状況で助けを求めて相談しているにも関わらず、法律事務所の対応で悩みの種を増やしてしまっては本末転倒です。今回はこれまで当事務所に寄せられた500件弱(本記事の執筆時点)のご相談に基づき、占い詐欺被害を相談する際の法律事務所選びのポイントを解説いたします。
弁護士が面談すること
はじめに、一番大切なポイントとしてお伝えしたいのは“弁護士が面談してくれる事務所を選びましょう”ということです。多くの方は「法律事務所に相談しているのだから、当然弁護士が対応するだろう」とお思いになるかもしれません。本来そうあって然るべきなのですが、実際に当事務所に相談に来られた方たちのお話によれば、弁護士は一度も登場せずに、事務員などのスタッフとのやり取りのみで処理を進めている法律事務所もあるようです。こうした法律事務所に対しては、返金対応がうまく進まない、解決金の金額に納得がいかない、といった声も耳にします。
弁護士が面談せずに対応する法律事務所は、占い詐欺だけでなく、ロマンス詐欺、FX詐欺などの消費者被害を数多く扱っているように宣伝している法律事務所に多い傾向があり、弁護士が1名ないし少数という点で共通しています。もちろん、全ての法律事務所がそうであるというわけではないでしょうし、依頼者の話が間違っている可能性は否定できません。それでも、こうした声があるということは事実です。
そもそも、日本弁護士連合会(日弁連)が定めた「債務整理事件処理の規律を定める規程」において、債務整理事件を受任する際には弁護士が自ら依頼者と面談して事情を聴くことが義務化されています。
受任弁護士自らが行う個別面談による事情聴取の原則義務化
弁護士の事件受任・事件処理方法に対する規制
弁護士は、依頼主と会わずに債務整理事件の依頼を受けてはいけないのが原則です(弁護士と会って依頼をするのが原則です)。
原則として、受任する弁護士が自ら個別面談をして、事件の依頼主の事情を聴かなければなりません(規程第3条)。
実際に、弁護士が対応しないとどのような問題点があるのでしょうか。
こちらの記事でも解説しましたが、占い詐欺サイトの運営者に返金を求める場合、占いサイトのどの行為が詐欺にあたるのかを検討し、その証拠を精査して、運営者と交渉する必要があります。交渉の際には、弁護士の法的な知識はもちろん、過去の返金実績に基づいた事件の見通しが重要になります。これらの交渉を弁護士資格のない事務所スタッフなどが行なった場合、依頼者にとって不利な条件や低い金額で和解されてしまうリスクがあります。
弁護士が対応しない事務所の多くは、着手金や成功報酬が低く設定されており、依頼者にとっては依頼しやすいでしょう。一見すると良心的な事務所に見え、かかるお金が少なく済みそうですが、解決金も少額になり、結果的には手元に入るお金が減ってしまう可能性もあります。
弁護士の説明義務について
さらに、弁護士が対応することの重要な点として、依頼者への説明義務と注意喚起があります。前述の日弁連の規定において、依頼者の不利益になる事項については弁護士自らが説明することが義務付けられています。
事件処理方針、不利益事項、弁護士費用及び民事法律扶助の説明(努力)義務
事件処理の方針や、事件処理に伴って依頼主に不利益になる事項は、受任する弁護士が自ら説明するのが原則です(規程第4条)。弁護士費用等についても、分かりやすく説明するよう努めることになっています(規程第5条、第6条)。
弁護士の事件受任・事件処理方法に対する規制
例えば、東京弁護士会は、国際ロマンス詐欺について「国際ロマンス詐欺の被害回復は現実には難しく、多くの場合、被害を全く回収できないか、ごく少額の回収にとどまることが多い」としています。こうした案件において、弁護士自らが事案の見通しについて正確に説明をせずに依頼をしてしまえば、着手金を支払っても成果が出ないということもあります。
弁護士が面談する場合には、しっかりとこれまでの経験に基づき、誠実な事案の見通しをお伝えすることができますが、事務員のみでは、こうした見通しを正確にお伝えするのは難しいでしょう。
弁護士による説明を怠ったがために、詐欺サイト運営者への返金に支障が出てしまう可能性もあります。
返金請求の際は、弁護士から詐欺サイトの運営者に対して、詐欺行為であることと、返金を求める旨を通知書として送付します。弁護士は、通知書の記載内容に沿って詐欺行為を主張して返金交渉を進めます。依頼者には、通知書の内容や送付する時期を事前にお伝えしますが、その際に重要なのは、返金請求をする時点で詐欺サイトの利用もやめることです。注意喚起や通知書送付の認識がないままに、万が一サイトの利用を続けてしまった場合、「通知書受け取りましたけど、その後も使ってますよね?詐欺と分かっていながら使い続けているなら、詐欺にはならないので返金しませんよ」と運営者が返金拒否を主張する余地を与えてしまうことになります。こうした事態を避けるために、依頼者の不利益になることは事前に弁護士から説明する必要があるのです。
事務所ホームページの確認ポイント
弁護士が対応してくれるかどうかを事前に見極めるのは難しいですが、法律事務所のホームページなどで以下の点を確認するとよいでしょう。
複数の弁護士が所属していること
例えば、弁護士が一人しかいないにも関わらず「24時間365日対応します」などと謳っている場合は注意が必要です。弁護士業務をこなしながら、一人で24時間365日すべての相談に対応するというのは現実的には難しく、事務員やスタッフに依頼者とのやり取りを任せている可能性が高いです。
「占い詐欺“専門”の弁護士が対応」などの誇大広告にあたる可能性のある表現の有無
占い詐欺などの比較的新しい消費者詐欺の分野において、「専門分野」、「専門弁護士」、「占い詐欺特化」などの表現を用いている場合、日弁連が禁止している「誤導又は誤認のおそれのある広告」に該当する場合があります。
日弁連 弁護士の業務広告に関する規程
日弁連 弁護士の業務広告に関する規程
(禁止される広告)
第三条
弁護士等は、次に掲げる広告をすることができない。
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
占い詐欺ではありませんが、同じ消費者詐欺の分野において国際ロマンス詐欺にまつわる弁護士広告の注意点を東京弁護士会が発表しています。
最後に
私たち法律事務所Zでは、これまで500件弱(本記事の執筆時点)の占い詐欺に関するご相談をいただいており、多くの返金実績がございます。複数の弁護士が在籍しており、もちろん弁護士がすべての依頼者様との面談も行います。また、返金可能なサイトか否かについても、これまでの豊富な実績に基づき、正確な情報をお伝えいたします。詐欺サイトの運営者との返金交渉におけるノウハウも蓄積されておりますので、安心してご相談ください。