投資に関心を持つ人が増える一方で、「高利回り」「確実に儲かる」などと誘う悪質な投資詐欺の相談も後を絶ちません。近年は、SNSや暗号資産を使った巧妙な手口が増え、被害者が資金を失うケースも見られます。
しかし、すべてのケースが泣き寝入りになるわけではありません。状況や証拠の内容によっては、弁護士など専門家の対応により被害金を一部または全額取り戻せた事例もあります。
本記事では、実際の投資詐欺の返金事例や判例をもとに、返金の可能性を高めるポイントや代表的な詐欺の手口・特徴を解説します。投資を検討中の方や、詐欺被害の疑いを感じている方は、参考にしてみてください。
【監修】

| 伊藤 建(いとう たける) 消費者庁出身・法律事務所Z代表弁護士 2011年に国家公務員第Ⅰ種試験、司法試験にダブル合格。多くの詐欺被害案件を手掛け、被害額数100億円の大規模詐欺事件でも勝訴判決を得る等の実績を有する。 |
投資詐欺とは

投資詐欺は、本来存在しない投資商品や実態のない運用を装い、投資家から資金を騙し取る犯罪行為です。
近年ではSNSやインターネットを介して手口が巧妙化しており、金融庁に寄せられた投資詐欺に関する相談は、令和7年4月1日から同年6月30日で合計15,211件と増加傾向にあります。
出典:金融庁|「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:令和7年4月1日~同年6月30日)
投資詐欺は高い利回りや元本保証を謳い、リスクを過小評価させるのが特徴です。表面的には合法に見えても、契約書の内容が不明確だったり、投資先の情報が公開されていなかったりするケースがあります。
少しでも不信感を覚えたら、弁護士などの第三者に相談しましょう。
投資詐欺の被害は返金できる?返金率はどのくらい?
投資詐欺の被害で返金可能かどうかは、状況によって異なります。金融情報メディア『moneyFOCUS』と一般社団法人『金融リテラシー協会』による共同調査によると、投資詐欺の返金率は34.4%となっており、決して高い数字ではありません。
特に、証拠がない、あるいは少ない場合は返金率が低くなり、弁護士に相談しても断られるケースがあります。被害に気付いた時点で資金がすでに動かされており、回収が困難になることも返金が難しい理由のひとつです。
投資詐欺で返金できた事例・判例

証拠がなければ返金が難しいとされる投資詐欺ですが、過去には返金できた事例・判例も存在します。ここからは、法律事務所Zへのご相談で返金できた事例と過去の判例を紹介します。
法律事務所Zで解決できた事例
貸し付けで利息が年利15%、元本保証と言われて200万円を投資したAさん。しかし、その後お金が振り込まれていないことに気付き、法律事務所Zへご相談されました。
投資では本来、出資契約書を交わすはずですが、Aさんがサインしていたのは借用書でした。借用書を使用することでAさんの資金を個人間の貸付扱いにし、投資詐欺を隠していたと考えられます。
その後弁護士が相手と直接やり取りを行い、和解が成立しました。200万円の出資で、100万円の和解金を含む300万円の返金に成功しています。
過去の判例からみる事例
過去には裁判で犯罪行為が認められ、返金を進めている判例もあります。株式会社Aによる大規模な組織的投資詐欺では、金銭詐取を目的とした不法行為が認められました。
| 株式会社Aは、実態のない投資事業を次々と立ち上げ、投資名目で広く資金を集めていました。 新規投資者から集まった資金を既存投資者の配当に充てる構造(自転車操業)が続きましたが、やがて資金繰りが困難になり、元本償還が停止。その後、株式会社Aと代表者らは姿を消し、被害者との連絡も絶たれました。 被害総額は数億円にのぼり、金融庁から行政処分を受けた後も新たな投資商品を作り出して資金集めを続けたことから、裁判所は悪質性が高いと認定。株式会社Aおよび代表者らに詐欺の故意があったとし、不法行為責任を認めています。 現在も、被害者側は判決を元に賠償金の回収手続きを進めており、司法・行政の両面から厳正な対応が取られています。 |
投資詐欺によくある4つの手口・特徴

投資詐欺には、以下のように共通した手口・特徴があります。
- 元本保証をしている
- 特別感を出して投資を迫る
- 出資契約書ではなく借用書にサインさせられる
- 投資先の詳細がわからない
このような特徴が見られる場合は、冷静に詐欺を疑うことが大切です。ここからは、投資詐欺によくある4つの手口・特徴を詳しく解説します。
1. 元本保証をしている
元本保証を謳う投資案件は、その時点で詐欺の可能性が高いといえます。投資を含む金融商品は将来の利益が確約できないため、基本的に元本保証はありません。
金融商品取引法(金商法)では「断定的判断の提供による勧誘」や「誤認を与える表示」を禁止しています。そのため「元本保証」を暗示させる表現自体が制限されます。
そのため、投資で「元本保証で高配当」「絶対に損をしない」といった言葉を聞いた場合は十分注意が必要です。特に金融庁に登録されていない業者や、無登録の個人が巧みな言葉で勧誘してくる場合は詐欺の可能性が高いので、弁護士など第三者にご相談ください。
2. 特別感を出して投資を迫る
「あなたにだけ特別な投資情報を教える」「今だけの限定案件」など特別感を演出するのも、投資詐欺の典型的な手口です。詐欺師は、根拠のない投資話を持ち出し、即断を迫ってきます。
特別感を演出する手口の目的は、冷静に考える時間を奪い、契約や送金を急がせることです。信頼できる投資案件であれば、誰にでも平等に情報を開示し、必要な説明や契約書類を提供してくれます。
特別扱いや秘密の情報を理由に内容の説明を避ける場合は、詐欺を疑いましょう。
3. 出資契約書ではなく借用書にサインさせられる
投資詐欺では、正式な出資契約書を交わさず、「借用書」や「念書」へ署名させる手口がよく見られます。正規の投資であれば出資契約書を交わすのが通常です。
借用書は本来、個人間の貸し借りを前提とした文書であり、投資契約の内容を示すものではありません。このため、詐欺加害者が「これは投資ではなく貸し借りだ」と言い逃れをする材料として利用するケースがあります。
ただし、借用書が使われていても、以下のような証拠を組み合わせることで実態が投資詐欺であると認められ、返金が実現した例はあります。
- 勧誘の内容
- 配当の説明
- 実際の送金の流れ
- メッセージの記録
万が一、借用書形式で署名を求められた場合は、安易に応じず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
4. 投資先の詳細がわからない
投資先の事業内容や資金用途が不明瞭な場合も、詐欺の可能性が高いです。正規の投資案件であれば、投資先企業の所在地・事業計画・運用方法・リスクなどが明確に提示されます。
特に投資先が不明瞭であるにも関わらず、高いリターンを約束する場合は注意が必要です。このような詐欺案件では、被害者が送金すると連絡が取れなくなり、返金が難しくなるケースも珍しくありません。
詳細情報を尋ねてもはぐらかされたり拒否されたりする場合は詐欺を疑い、会社の登記情報や金融庁の登録などを確認することが大切です。
投資詐欺に遭った場合の相談先

投資詐欺の被害に遭った場合は、速やかに専門機関へ相談することが大切です。時間が経つほど証拠が消失し、加害者が資金を隠すリスクが高まってしまいます。「もしかして投資詐欺かも?」と感じたら、以下のような相談先に問い合わせてみましょう。
- 弁護士
- 金融庁(詐欺的な投資に関する相談ダイヤル)
- 消費生活センター
それぞれ詳しく解説します。
弁護士
投資詐欺の被害に遭ったら、弁護士へ相談するのがおすすめです。法律の専門家として現在の被害状況を分析し、今後取るべき行動のアドバイスをもらえます。
また、返金の可能性がある場合には、返金交渉や訴訟など必要な解決策を提案してもらえます。返金請求なども代行できるため、心身的な負担を軽減できるのも大きな魅力です。
また、弁護士が介入することで、加害者側が返金に応じやすくなるケースもあります。被害回復の可能性を高めるためにも、投資詐欺に気付いたら弁護士に相談することが大切です。
法律事務所Zなら無料で相談可能!
法律事務所Zでは、相談料・着手金無料で投資詐欺の相談に対応しています。相談では経験豊富な弁護士が直接ヒアリングを行い、状況に応じて返金請求や法的手続きをサポートいたします。
- 投資詐欺に遭ったかもしれない
- 返金できるのか知りたい
- 投資詐欺に遭ってどうすればよいかわからない
このような悩みをお持ちの方は、ひとりで抱えこまず、以下のボタンからお気軽にお問い合わせください。
金融庁(詐欺的な投資に関する相談ダイヤル)
金融庁では、金融サービスの利用者を対象とした「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」を設置しています。この窓口では、詐欺被害はもちろん「この投資は安全なのか」「業者は信頼できるのか」といった相談も可能です。
電話やWebサイトで受け付けており、相談員が話を聞いたうえで必要なアドバイスを行います。しかし、あくまでもアドバイスや投資詐欺かどうかの確認だけとなり、あっせんや仲介は実施していません。実際に詐欺の被害が出ている場合は、弁護士へご相談ください。
| 金融庁(詐欺的な投資に関する相談ダイヤル) | |
| 受付時間 | 平日 10時~17時 |
| 電話番号 | 0570-016811 |
| Webサイト受付窓口 | https://www.fsa.go.jp/opinion/ |
消費生活センター
消費生活センターは、国民の消費行動に関するトラブルを幅広く扱う公的機関です。電話番号「188」で全国に対応しており、投資詐欺に関するアドバイスを受けられます。
また消費生活センターでは、相談内容に応じて事業者への仲介(あっせん)を行うこともあります。ただし事業者への強制力はなく、交渉もできないので、必ずしも問題が解決するとは限りません。
「投資詐欺に遭ってどこに相談すればよいかわからない」という方にとっては有効な相談先ですが、被害が明らかな場合は弁護士に相談することが大切です。
投資詐欺の返金相談は弁護士にご相談ください
投資詐欺の手口は巧妙化しており、気付かないうちに多額の資金をだまし取られるケースも少なくありません。返金には証拠の有無が重要になるので「投資詐欺かも?」と感じたら、なるべく早めに弁護士へ相談することが大切です。
私たち法律事務所Zは、年間1,000件以上の詐欺に関するご相談をいただいており、多くの返金実績がございます。消費者庁出身の弁護士 伊藤建をはじめ、複数の弁護士が証拠収集から返金交渉までサポート。相談料・着手金は一切かかりません。
詐欺サイトの運営者との返金交渉ノウハウも蓄積されておりますので、安心してご相談ください。
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