SNSやインターネット広告などを通じて、副業詐欺の被害が増えています。 「簡単に高収入が得られる」と謳いながら、実際には稼げず、初期費用や違約金などの名目で金銭をだまし取る悪質な手口です。
本記事では、副業詐欺にあった場合にまず取るべき行動や相談先、典型的な手口、弁護士への相談による被害回復の方法まで解説します。実際に被害に遭った方はもちろん、「自分が被害に遭っているか判断したい」という方も、ぜひ参考にしてください。
【監修】

| 伊藤 建(いとう たける) 消費者庁出身・法律事務所Z代表弁護士 2011年に国家公務員第Ⅰ種試験、司法試験にダブル合格。多くの詐欺被害案件を手掛け、被害額数100億円の大規模詐欺事件でも勝訴判決を得る等の実績を有する。 |
副業詐欺にあったら?まず行動すべきこと

副業詐欺とは、副業で「簡単に稼げる」「初心者でも高収入」などと謳い、高額な費用や追加料金を支払わせる悪質な詐欺のことです。
近年は、SNSを通じた業務依頼が増加したことで、詐欺に巻き込まれるリスクが高まっています。副業詐欺に遭った場合は、次のような行動を早急に取りましょう。
- 業者とのやり取り・作業を止める
- 証拠をすべて保存する
- クレジットカード会社に連絡する
- クーリングオフをする
業者とのやり取り・作業を止める
副業詐欺の可能性があると感じたら、すべてのやり取りや作業をただちに中止しましょう。相手と連絡を続けると、さらなる追加料金の請求や、個人情報の漏えいといったリスクが発生します。
また、作業を続けることで詐欺行為に加担したと見なされるリスクや、トラブルの長期化・複雑化につながるおそれもあります。被害を最小限に抑えるためにも、相手からの連絡には返信せず、すみやかに関係を断つことが重要です。
証拠をすべて保存する
副業詐欺が疑われる場合、証拠として相手とのやり取りをすべて残しておくことが重要です。削除や改ざんのおそれがあるため、証拠を早めに確保しておきましょう。
副業詐欺では、以下のようなものが証拠になります。
- SNS・チャットアプリでのやり取りのスクリーンショット
- メールの送受信履歴
- 勧誘ページ・広告・LPのスクリーンショット
- 契約書・利用規約・申込ページの内容
- 振込明細・クレジットカードの決済履歴
- 相手のプロフィール情報や送られてきた名刺・会社情報
- サポートチャットや会員サイトの画面
- 料金請求や追加費用を求められたメッセージの記録
これらの証拠は、カード会社へのチャージバック申請や、弁護士による返金請求の際に「詐欺性を示す根拠」として活用できます。少しでも怪しいと感じた時点で、必ず証拠を集めておきましょう。
クレジットカード会社に連絡する
副業詐欺でクレジットカード決済をしてしまった場合は、できるだけ早くカード会社へ連絡し、支払いの停止を申し出ましょう。状況によっては、「チャージバック」という仕組みを利用して返金できる可能性があります。
チャージバックとは、クレジットカード利用者が不正請求や詐欺的取引に気付いた際、カード会社を通じて支払いの取消しや返金を求められる制度のことです。
サービスが提供されていない場合や、説明と実際の内容が大きく異なる場合などは、チャージバックの対象になることがあります。「副業詐欺かもしれない」と感じた時点で、カード会社に状況を説明し、チャージバックできないか相談してみましょう。
クーリングオフをする
副業案件で高額な教材やサービスを購入してしまった場合、契約内容によってはクーリングオフ制度を利用できる可能性があります。クーリングオフとは、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度のことです。
副業詐欺の多くは、特定商取引法に定められた「業務提供誘引販売取引(報酬が得られる仕事を紹介するなどの名目で金銭を支払わせる取引)」に該当することが多く、この制度が適用される可能性があります。
クーリングオフを行う際は、契約解除の意思を書面またはメールで伝え、記録が残る形式で手続きを進めましょう。特に書面は、内容証明郵便で送付するのが確実です。
また、事業者が法定の契約書面を交付していなかった場合は、クーリングオフの適用期間を過ぎていても制度が適用されることがあります。
副業詐欺にあったらどこに相談する?おもな相談先

副業詐欺の被害に気付いたものの、「どこに相談すればいいのかわからない」と悩む方は少なくありません。ここでは、副業詐欺に遭ったときに頼れる主な相談先をご紹介します。
消費生活センター・消費者ホットライン
副業詐欺の相談先として、各自治体の消費生活センターや「消費者ホットライン(188)」が代表的です。専門の相談員から、状況に応じた対処方法や返金に向けたアドバイスを受けることができます。
相手業者とのやり取り内容や支払い状況をできるだけ詳しく伝えることで、より具体的な対応策を案内してもらえる可能性が高まります。一人で悩まず、早めに相談することが大切です。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスとは、法的トラブルの解決をサポートする、公的な支援機関のことです。副業詐欺の被害にあった場合、返金請求などに関する法律相談や、弁護士事務所の紹介、費用に関する案内を受けることができます。
また、収入や資産状況に応じて、弁護士費用の立て替え制度(民事法律扶助)を利用できる場合もあります。全国に事務所があるほか、電話やオンラインでの相談も可能です。
警察・相談専用ダイヤル
副業詐欺の被害に遭った場合、警察も相談先のひとつになります。詐欺被害に不安を感じた場合は、「警察相談専用ダイヤル(#9110)」で状況を伝えましょう。
警察では匿名で通報できる「匿名通報ダイヤル」も用意しており、特殊詐欺の被害情報を収集しています。こうした情報提供により、被害拡大の防止につなげられます。
ただし、警察はあくまで犯罪捜査が主な役割であり、直接的な返金対応は行っていません。返金を希望する場合は、弁護士への相談を検討してみてください。
弁護士事務所
副業詐欺の返金請求や法的対応を進めたいと考える場合は、弁護士への相談が有力な選択肢のひとつです。弁護士は、業者に対する内容証明郵便の作成や返金に向けた交渉、必要に応じて民事訴訟の提起、刑事告訴の可能性に関する助言なども行います。
また、相手業者が「返金できない」「契約だから対応しない」などと主張してきた場合でも、弁護士であれば法的根拠をもとに適切に反論できます。相手の強硬な態度に不安を感じている方や、自力での対応が難しい方にとっては、心強い存在となるでしょう。
ただし、被害状況や証拠の有無、相手側の資産状況などによっては、返金の実現が難しいケースもあります。だからこそ、できるだけ早い段階で相談し、証拠の整理や今後の対応を検討することが重要です。初動の早さが、その後の対応方針や結果に大きく影響する場合も少なくありません。
早期の対応が、その後の選択肢や結果に大きく影響することがあります。法律事務所Zでは、相談が無料です。以下からお気軽にお問い合わせください。
副業詐欺でよくある手口3つ

副業詐欺にはいくつか典型的なパターンがあり、特に最近はSNSやチャットアプリを通じた巧妙な勧誘が増えており、見抜きにくいケースもあります。ここでは、実際の相談でよく報告される代表的な手口を紹介します。
1.タスク型詐欺
タスク型詐欺とは、「誰でも簡単に稼げる」と見せかけ、実際には手数料や登録料を次々に支払わせる手口です。はじめは小さな作業で信頼を得てから、「高単価案件を紹介する」と持ちかけて支払いを促すのが特徴です。
支払っても報酬が振り込まれることはなく、追加の費用要求が続くケースが多く見られます。タスク型詐欺では以下のような文言が使用されます。
- 「簡単な作業をするだけで、すぐに報酬が受け取れます」
- 「初心者でも1日数万円が可能!」
- 「まずは小さなタスクでOK。続ければ高単価案件をご紹介します」
- 「手数料を払えば、さらに稼げるVIP案件を優先でご案内」
- 「この作業は人気のため、すぐに枠が埋まります。今すぐ登録を!」
最近では「SNSロマンス詐欺」と呼ばれる手口も増えています。SNS上で加害者が恋愛感情を抱かせたあと、「あなただけに特別な副業がある」と誘導する手法です。親密な言葉で距離を縮めるため見抜きづらく、被害が拡大しやすい傾向があります。
副業を紹介された際に、上記のような勧誘文や過剰に親密な態度が見られる場合は、慎重に対応しましょう。
2.投資系詐欺
投資系詐欺とは、高い利益を約束し、実在しない投資商品やサービスの購入を促してお金を騙し取る手口です。以下のような文言を使っている場合は特に注意が必要です。
- 「必ず儲かる投資です」
- 「絶対に損はしません」
- 「元本保証で安全です」
- 「AIが自動で利益を出します」
- 「プロのトレーダーがあなたの代わりに運用します」
- 「少額から始めて、すぐに利益を受け取れます」
- 「あなたの資金を運用したら1か月で○倍にできます」
- 「初期費用を入金すればすぐ利益が出ます」
このような詐欺では、はじめに少額の利益を見せて信頼させたうえで、より高額な入金を促すのが典型的な流れです。しかし、実際には運用実態がなく、途中で連絡が取れなくなったり、出金できなくなったりするケースが多く報告されています。
近年はSNSやチャットアプリ経由での勧誘が増えており、見抜きにくい手口も存在します。少しでも不審な点を感じたら、安易に入金せず、第三者に相談することが大切です。
3.情報商材系詐欺
情報商材系詐欺とは、「誰でも簡単に稼げるノウハウ」や「成功マニュアル」などを高額で販売し、実際には価値に見合わない内容や、インターネット上で入手できる既存情報を寄せ集めたような教材を提供する手口です。
購入者に「これを実践すればすぐ稼げる」と期待させ、追加の高額教材やサポート費用を次々に請求するケースもあります。
情報商材系詐欺でよくある文言・勧誘パターンは、以下のとおりです。
- 「これを実践すれば誰でも月収50万円以上稼げます」
- 「初心者でもすぐに成果が出るノウハウです」
- 「期間限定で特別価格、今だけのチャンスです」
- 「この教材は他では手に入りません」
- 「ここだけの秘密情報です」
- 「まずは小額で試せますが、全体プランに加入すればさらに稼げます」
- 「特別サポート付きなので安心です」
また、販売者が有名人の写真やコメントを無断で使用し、信頼性を装う悪質なケースも確認されています。
情報商材を購入する際は、安易に決断せず、販売元の実在性や過去の実績、返金制度の有無などを必ず確認したうえで、慎重に検討しましょう。
▼情報商材詐欺の詳細はこちら

これって副業詐欺?見分け方のポイント5つ
「もしかして副業詐欺に遭ってしまったかも…」と不安に感じていませんか?この章では、副業詐欺を見分ける5つのポイントをわかりやすく解説します。
1.「誰でも・簡単に・短期間で稼げる」と強調している
「誰でも・簡単に・短期間で稼げる」といった表現は、副業詐欺でよく使われる典型的な誘い文句です。
正当な仕事では、報酬は努力やスキルに応じて支払われるものです。「確実に稼げる」などの断定的な文言が出てくる場合は、内容をよく疑ってみることが大切です。
また、信頼できるビジネスでは「絶対に稼げる」とは言わず、現実的な目標や条件を提示します。このような表現が出てきた場合は詐欺である可能性が高いため、手を出さないようにしましょう。
2.初期費用が数万円〜数十万円と高額
初期費用として数万円〜数十万円を要求される副業は、詐欺の可能性が高く注意が必要です。「最初に投資すれば必ず回収できる」「この費用は成功に必要な経費だ」などと支払いを正当化してきますが、実際には根拠がないことがほとんどです。
また、最初は「初期費用0円」などと宣伝しておきながら、登録後に高額なサポートプランや有料サービスへの加入を強く勧めてくるケースも見られます。無料を強調して安心させ、登録後に大きな支払いを求めるというのは、多くの詐欺事例に共通する典型的な流れです。
実際には「支払い後にサポートが途切れる」「約束された仕事が提供されない」といった被害も報告されており、高額な費用を求められた時点で一度立ち止まり、慎重に判断することが重要です。
3.具体的な仕事内容の説明がない
仕事内容や作業内容、報酬の条件などが明確に説明されず、「とにかく簡単に稼げる」「やることはあとで教える」といった曖昧な表現しか示されない場合は、副業詐欺の手口である可能性があります。
正当な副業であれば、「作業内容」「報酬の基準」「業務の流れ」などの詳細が事前に開示されるのが一般的です。こうした情報を示さないまま、登録や支払いを急がせる業者には十分注意してください。
- 「特別ルートがある」
- 「企業秘密なので詳細は言えない」
- 「今だけの限定案件」
また、「住所がレンタルオフィス」「会社名を検索しても情報が出てこない」といった業者は、詐欺であるケースが多いです。情報に透明性がなく、疑問点に対する説明責任を果たさない事業者は、信頼性に欠けると判断できます。
少しでも不審に感じたら、契約や支払いを行う前に第三者へ相談することをおすすめします。
4.収益を上げた成功者が多い
「成功者がたくさんいる」「短期間で月○万円達成!」といった成功談が大量に並んでいる副業案件にも注意が必要です。
特に文章がテンプレートのように似通っていたり、稼げた報告が異常に多かったりする場合は、虚偽の成功談で信頼感を演出しているおそれがあります。
また具体的な実績データや、仕事内容の過程について質問した場合、「無視をする」「話をそらす」といった対応も危険信号です。こうした特徴が複数当てはまる場合は、詐欺の可能性を疑い、関わらないようにしましょう。
5.口コミが極端に悪い・情報がほとんどない
「詐欺注意」「絶対稼げない」といった警告系のYouTube動画や記事が上がっている場合、副業詐欺の可能性が高いです。
また、会社名や業務内容について検索しても情報や評判がほとんど見つからない場合も注意が必要です。評判が極端に少ない案件は、実態が不透明で、信頼性を判断する手がかりが乏しいことを意味しています。
関わる前に、こうした情報を十分に調べ、安易に登録や支払いをしないように心がけましょう。
副業詐欺にあったら弁護士への相談をおすすめしたい3つの理由

副業詐欺にあった場合、自力での対応には限界があります。返金交渉や法的手続きをスムーズに進めるには、弁護士への相談が有効です。ここでは、弁護士に相談することで得られるメリットを紹介します。
1.オンラインで相談ができるため
多くの弁護士事務所では、オンラインでの相談に対応しており、全国どこからでも気軽に専門家のアドバイスを受けられます。「自宅や外出先から相談可能」「仕事後や空いた時間に連絡できる」といった点が大きなメリットです。
オンライン相談では、被害状況の整理や必要書類の確認、今後の対応方針の相談がスムーズに進みます。早めに相談することで、被害を最小限に抑えられます。
2.返金請求が見込めるため
副業詐欺の多くは、誇大宣伝や返金保証の虚偽など、特定商取引法や消費者契約法に抵触する可能性が高いものです。
弁護士であれば、「契約のどの部分が違法にあたるか?」「どの法律を根拠に返金請求できるか?」を明確にしたうえで、業者に法的なプレッシャーをかけられます。そのため、個人で交渉するよりも、返金成功の確率を高めることが可能です。
3.詐欺被害で必要な対応を一貫して任せられるため
副業詐欺の被害にあった場合、「何をどうすれば良いか分からない」と混乱しやすいでしょう。
弁護士に相談すれば、必要な証拠の整理や相手事業者の特定、返金交渉といった手続きを、一貫して任せられます。必要に応じて訴訟手続きまで対応するため、被害回復の手順を迷うことなく進められる点も、弁護士事務所に相談するメリットになります。
副業詐欺で泣き寝入りせず、まずは弁護士に相談|無料相談は法律事務所Zへ!
副業詐欺の被害に気づいたら、まずは業者とのやり取りを中止し、やり取りの記録や支払い履歴などの証拠を整理・保存することが大切です。あわせて、クレジットカード会社への連絡やクーリングオフ制度の利用など、早急に対応を進めることで、被害の拡大を防ぐことができます。
また、弁護士に相談することで、状況に応じた法的対応や返金請求の可能性を検討できます。個人での対応が難しいケースでも、専門家のサポートを受けることで、適切な対処につなげられるかもしれません。
法律事務所Zでは、「24時間受付」「オンライン相談」に対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。ご相談内容に応じて、証拠の確認から対応方針のご提案まで、丁寧にサポートいたします。
「これって詐欺かもしれない」と感じた段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
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